2004年新春特集号
 

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農林抄 (論説/資源循環・環境創造型バイオマス戦略への提言)
 
   「バイオマス・ニッポン総合戦略の進捗状況」
       農水省大臣官房環境政策課資源循環室室長 藤本 潔
 
 米政府として、我が国の社会経済の構造を、化石資源使い捨てニッポンから、太陽の恵みで生産されたバイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源で化石燃料を除いたもの)資源を活用する「バイオマス・ニッポン」に転換していくための戦略を示した「バイオマス・ニッポン総合戦略」が平成14年12月に閣議決定されてから、早いもので一年が経過した。・・・



新春特集 「資源循環・環境創造型バイオマス戦略の構築と展開」<1> 
 
資源循環・環境創造型地域づくりモデル〜
 
   「仕合わせを始めよう」 季刊特集
       滋賀県新旭町長 海東英和
 
      知るは愛する始め……里山物語
      仕合わせを始めよう……菜の花プロジェクト
      木質バイオマスによる地域熱供給事業着工
      付表・湖国菜の花エコ・プロジェクトの資源循環サイクル

     
読み切り
 
   「家畜ふん尿および食品工場残渣等の地域資源を活用した循環型社会の構築へ」<1>
       京都府八木町農林振興課課長補佐 中川悦光 季刊特集
 
      はじめに
      八木町における畜産業の状況
       (1)飼養頭数の拡大
       (2)環境問題の発生と農地還元
       (3)ふん尿処理からエネルギー創造施設への転換
      メタン発酵の仕組み
      堆肥発酵の仕組み
      運転状況
       (1)ふん尿およびオカラの受入量

     
つづく
 
バイオマス・エネルギー利活用技術の開発の成果と展望
 
   「バイオマス資源の電力利用の可能性」 季刊特集
       長崎総合科学大学人間環境学部教授 坂井正康
       長崎総合化学大学新技術創成研究所 村上信明 共著
 
      はじめに
      草木などのバイオマスを原料にした発電技術
      バイオマスからの生成ガスの利用
      むすび
      付表1・バイオマス発電効率の比較
      付表2・浮遊外熱式高カロリーガス化技術の実験結果
      付表3・バイオマスガス化ガスの利用技術

     
読み切り 
 
   「菜の花プロジェクト、その展望と今後の課題」<1> 季刊特集
       菜の花プロジェクトネットワーク事務局長 山田 実
 
      「環境問題」から「エネルギー問題」へ
      農業の復興へ、地域振興へ
      資源循環の愛東町モデル
      菜の花プロジェクトの広がり
      地域へのこだわり、「自律と自立」

     
つづく
 
バイオマス・プラスチック利活用技術開発の成果と展望
 
   「バイオマス由来プラスチックの技術開発と取組みの現状および今後の展望・展開」<1>
       生分解性プラスチック研究会事務局長 大島一吏 季刊特集
 
      バイオマス由来プラスチック
       (1)天然物系
       (2)セルロースおよびセルロース誘導体
       (3)澱粉及び澱粉誘導体
       (4)化学合成系
           ・PLA
      付表1・工業用資材としてのバイオベースポリマー概観
      付表2・バイオマス由来プラスチックの合成法概要

     
つづく
 
   「ドイツ『カッセル・プロジェクト』」 季刊特集
      〜資源樹循環型社会でのグリーンプラの役割を実証〜
       生分解性プラスチック研究会企画調査委員長 金井康矩
 
      はじめに
      カッセル・プロジェクトの仕組みと内容
      カッセル市が選ばれた理由
      プロジェクトの成果と評価
      将来の展望

     
読み切り
 
 
編集室
 
 2004年新年特集号の統一企画テーマは、『資源循環・環境創造型農林漁業・農山漁村構築に向けたバイオマス戦略の構築と展開−その取り組み成果および現状、今後の可能性と展望」としました。本誌01年新年特集号企画提案『21世紀のエネルギー革命とエネルギー戦略−自然エネルギーで拓く21世紀の農林漁業・農山漁村』が一つの切っ掛けとなって、昨年12月、「バイオマス・ニッポン総合戦略」が策定、閣議決定されてから一年が経ちました。同戦略の推進を含め、これまでのバイオマス利活用への取り組みの成果、現状を検証.評価するとともに、将来的なエネルギー利用転換技術や製品開発技術の可能性を展望しつつ、資源循環・環境創造型農林漁業の振興、資源循環・環境創造型農山漁村の活性化に向けたバイオマス戦略として構築し、取り組むべきだという戦略的目的からです。
 戦略構築に当たっては、三つの観点を立てる必要があります。第一が地域自立に向けた、農山漁村に賦存する資源を原料とするエネルギーや製品を地域で使用・消費する地域自給.地産地消の観点です。地域資源を利用転換した電力や動力燃料をトラクターなど農林漁業機械・施設、マルチフィルムや魚箱など生産資材として利用するエネルギー、資材の地域自給は、食料安全保障としても重要です。第二点は、バイオビジネスとしての観点です。豊富に賦存する地域資源を活かしてビジネスとして成り立つよう、革新的な技術・製品開発により新たなバイオマス産業と新たな雇用を創出し、地域経済を活性化する起爆剤とすることです。第三が脱化石エネルギー.脱原発に向けたクリーンかつ安全で再生可能な21世紀型エネルギーとしてバイオマス・エネルギーを重要な柱に位置づけ供給増加を図るエネルギー安全保障の観点です。温室効果ガス6%削減目標と、再生可能エネルギー全体の供給目標率を欧米並みの10%に再設定、その達成を図り、エネルギー供給のリスク分散と自給率を高め、地球温暖化を防止していく環境・エネルギー戦略を構築していくべきです。
 こうした観点に立ち、今回は、多くの関心や期待が強いエネルギーと生分解性プラスチック利用、資源循環・環境創造型農林漁業・農山漁村構築に向けた取り組み地域をモデル的に取り上げました。エネルギー利用のうち自動車燃料としては、最も取り組みが早く、広がりを見せている「菜の花プロジェクト」(ディーゼル燃料)、政府の取り組みとして昨年から始まったメタノール混合ガソリン、食用作物と競合せず最も豊富に賦存している非食用草木系資源を原料とするメタノールの技術開発の成果と将来的可能性、さらに燃料電池としてのバイオマス資源の可能性について、研究開発者に知見を求めました。発電については、今後の技術的可能性とともに、メタン系や木質系の地域の取り組みを紹介していきます。10年代にはプラスチック市場約3兆円の1割を超えると有望視され、最も製品開発が進み企業参入が多く、バイオマス・ビジネスとして先行しているバイオマスプラスチック分野については、利用転換技術・製品開発の成果と今後の展望とともに、バイオ.プラ製品を通して資源循環的リサイクルを社会実験として実証したドイツの「カッセル・プロジェクト」を紹介しました。モデル的地域の取り組みについては、最も早く家畜糞尿をメタン発酵させて発電等に利用する先進的取り組みで知られる京都府八木町と、「菜の花プロジェクト」や困難な木質系の熱供給事業に取り組み注目される滋賀県新旭町を取り上げました。

週刊農林編集部