2004年8月5日号
 

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農林抄 (論説/BSE日米専門家会合への提言)
 
   「米国産牛肉の安全は確保できるのか」
       農業情報研究所主宰 北林寿信
 
 
 去る7月22日、米国産牛肉の早期輸入再開を目指す日米実務者協議が終わった。全頭検査については日本が譲歩、現在のBSE(牛海綿状脳症)検査には検出限界があると、一定月齢以下の牛の検査は免除する方向が固まった。だが、この月齢の特定はできなかった。脳・脊髄などを除去すべき牛の生後月齢に関する対立も残った。8月中旬の局長級会合で若齢牛の肉の禁輸解除を決定するという政府の描くシナリオに黄信号が灯った。とはいえ、輸入再開への基本的道筋は敷かれた。検査の限界を認めながらも生後何ヵ月になれば感染が発見できるか結論を保留した食品安全委員会専門調査会も、早晩、結論を出すだろう。ここで筆者が懸念するのは、この専門調査会での議論も含め、検査と特定危険部位(SRM)の除去だけに議論が集中していることだ。現在の検査でも発症前の一定の感染牛や発症していても見逃される感染牛を発見できるのだから、SRM除去だけが安全確保の手段とする米国の主張は完全な誤りだ。検査の重要性を主張する人々もSRMの除去の重要性は強調する。筆者も安全確保のために一定の検査は重要だし、SRM除去も重要と認める。だが、問題は、それだけで安全確保はできないということなのだ。・・・


焦 点 「米国産牛肉輸入再開に前進」
 
 
 BSE日米専門家会合が7月21〜22日に開かれ、BSEおよびその対策に関する専門的・技術的見地から日米双方の科学的知見を整理した報告書をまとめた。同会合をはじめ、政府内でも「日米牛肉貿易の再開に向けて、今後開かれる局長級協議につながる」と評価され、食品安全委員会専門調査会に続いてBSE検査に検出限界があることが日米専門家が見解一致したことで「輸入再開に向けて前進した」と捉えられている。これまでBSE対策について「国内外無差別の原則」を主張してきた亀井農相はいまだこの原則論を崩していないものの、「食品安全委員会の考え方と、これがどういう形になるものか注視をしている」としている。



夏季特集 「食料自給戦略の研究」<2>        (季刊特集
 
   「農業のフランチャイズ化を」<2>
       慶應義塾大学教授・元大蔵相財務官 榊原英資
 
      企業参入は地域協議で
      マネジメント学ぶビジネススクールを
      付表・農業フランチャイズ・システム


     
最終回
 
   「農政改革による食料自給率向上戦略」<2>
      〜構造改革と競争力強化に直接支払を〜
       経済産業研究所上席研究員・元農林水産省ガット室長 山下一仁
 
     (1)生産調整の縮小・廃止による米価引下げとデカップルされた直接支払い
     (2)構造改革の手法としての直接支払い
      付表・規模拡大が困難である理由


     
つづく
 
解説と論評 「食品安全委員会プリオン専門調査会報告『たたき台』」    
 
    「BSE検査だけが輸入再開条件でない」  (畜産
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> BSE検査水準が緩和され、米国産牛肉が年内にも輸入解禁との報道が紙面を賑わしている。しかし、食品安全委員会プリオン専門調査会の報告を冷静にみると、わが国が行なっている全頭検査、特定危険部位(SRM)除去は現時点では不完全であることが明らかになった。だが、こうしたリスク評価も結論では「vCJDが発生するリスクは、ほとんどが排除されている」と、曖昧な表現に変ってしまっている。しかも、サーベイランスの有効性については専門調査会は一切触れていない。全頭検査で一定以下の若齢牛を検査対象から外しても検出限界から現在のリスクと同等のレベル(ゼロリスクではないが)が保たれるのと、サーベイランスの有効性が及ぼすvCJD感染リスクは別問題である。今後、食品安全委員会に全頭検査緩和が諮問されると見られるが、BSE検査だけが輸入再開の条件ではない。この際には、米国のサーベイランス・フィードバンの有効性について徹底的な検証・評価を行なうべきである。
 
      SRM除去も現行水準は不完全
      不確実すぎるvCJD発生試算
      日本人の方が感染リスク高い
      米サーベイランス、フィードバンを徹底検証せよ


     
読み切り
 
短期連載 農林水産物輸出戦略7 「中国市場の分析と戦略<1>」  (国際・貿易     
 
    「高品質・ブランド化で差別化を」
       週刊農林編集部
 
      果物やブランド米、水産物が有望
      ターゲットは5%、6000万人の裕福層


     
つづく
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品・安全
    食の表示共同会議が「バナナ」をアレルギー物質として推奨品目に追加、特定原材料の強調表示を容認(7/23)
 米麦・水田
    2004年産水稲作付見込み面積が2万6000ヘクタール増の169万ヘクタール、収穫量は879万トン
 
畑作・果樹
    サントリーが世界で初めて「青いバラ」の開発に成功。パンジーの色素遺伝子をバラに組み込む
 畜   産
    BSE日米専門家会合が「若齢牛のBSE検出はムリ」との見解で一致、サーベイランス有効性は一致せず(7/22)〜30)
 金融・農協
    全中がJAの支所・支店体制構築指針まとめる。最低存置基準、事業評価で統廃合対象を決定(7/15)
 
構造・農村
    和歌山県が関東・関西両雇用創出機構と協働で就農促進協定を締結。再就職先として募集・斡旋
 
林   野
    日本経団連が温暖化対策税導入に対し「税収1兆円は過剰、720億円で十分」など反対表明(7/22)
 
水   産
    IWC年次総会で保護委員会にわが国が欠席、商業捕鯨への道のり遠い。RMSは次期会合で採択へ(7/19〜22)