2004年10月25日号
 

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農林抄 (論説/食料・農業・農村基本計画への提言)
 
   「環境創造型農業重点推進を」
       神戸大学元教授・兵庫農漁村社会研究所代表 保田 茂
 
 
 2000年3月に策定された食料・農業・農村基本計画がまもなく5年の時を迎えようとしている。当初の方針に従いその見直しが進められ、その中間論点整理が8月に公表された。見直し論議は三つの主要課題を中心に進められ、@品目横断的政策への転換A担い手・農地制度の見直しB農業環境・資源保全政策の確立について今後の施策の方向性の概観が示されている。とはいえ、極めて抽象的表現で具体的な方向性はいまだはっきり見えてこない。この小論では、Bの農業環境・資源保全政策の確立に対して若干の論評をしてみたい。・・・


焦 点 「BSE検査は21カ月齢以上で諮問」
 
 
 厚生労働省と農林水産省は10月15日、現在行なっているBSE全頭検査を見直し、「21カ月齢以上の牛」を対象とするBSE検査体制見直し案を食品安全委員会に諮問した。BSE検査見直しとともに経過措置として、地方公共団体がBSE全頭検査を自主的に実施する場合について3年間全額助成する対策を講じる。このため、地方公共団体の対応次第ではBSE検査の二重基準が存在することになり消費者が混乱する懸念があるが、島村農相は「消費者が本当に安心して食してもらう、生産者の立場に対して色々な配慮をするのは当たり前で、ダブルスタンダードにならないよう趣旨を徹底していきたい」との考えを示した。



歴史探究「農林漁業史発掘」       (その他
 
   「韓国の水田稲作開始は紀元前11世紀」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 昨年、炭化米や土器に付着した炭化物を加速器質量分析法(AMS法)という、国際標準の炭素14年代測定方法で計測、暦年較正したところ、日本列島に灌漑施設を擁する高度な稲作技術が伝播し、水田稲作農業が始まったのは、従来の年代観より約500年遡る紀元前1000年の後半、いまから3000年前まで遡る可能性があるという発表があったが、朝鮮半島南部地域、すなわち韓国では、それに先立つ紀元前11〜10世紀には、中国の長江流域を始源とする水田稲作農業が始まったことが明らかになってきた。40カ所以上で発掘された水田遺構から、水田は低丘陵末端に解析された谷底に立地し、水田区画は10平方b以下の方形または長方形の階段式の小区画に区切られ、湧水や雨水を効率的に利用できよう掘削型の貯水施設や水路など、灌漑施設を備えたシステムが構築されていた。こうした水田構造は日本列島西南部地域の水田遺構とほぼ共通しており、その水田農業技術が100年前後を経て紀元前10〜9世紀(従来説5〜4世紀)、弥生時代早期(従来の年代観では縄文時代晩期初頭)に佐賀県唐津市菜畑遺跡や福岡県二条町曲り田遺跡など、同じ機構・植生分布圏である照葉樹林帯の玄界灘沿岸地域に伝播。それから100年後の紀元前10〜9世紀には、弥生式土器の祖型の可能性のある先松菊里式土器や環壕集落、青銅器などの要素で形成される稲作を中心とした農耕社会、稲作・青銅器文化が成立し、その文化が弥生時代前期前半(従来の年代観では縄文時代晩期後半)に福岡市板付遺跡など九州北部を中心に西南地域で花開き、日本列島に広がっていったと見られる。さらに朝鮮半島では、水田稲作に先立つ6000年前、少なくとも紀元前4000年頃、青森市山内丸山遺跡に代表される縄文農耕が行なわれていた縄文時代前期に、粟や稗などを半裁倍ないし栽培する原初的な畑作農耕が始まり、縄文時代後期終末に相当する紀元前13世紀には、現代と同じように溝を掘り、畝を起て、1単位が3f超の大規模な畑に米や麦など穀類、豆類、エゴマ、シソなどを栽培する本格的な畑作農耕が行なわれていたことが明らかになってきた。
 
論評&提言 「自然循環・環境創造型農業振興戦略の研究」     季刊特集
 
    「自然環境とは何なのだろうか 〜遅々として進まない環境支払い〜
       農と自然の研究所代表 宇根 豊
 
    「迫力に欠ける農業環境政策」
       農林中金総合研究所常務取締役 蔦谷栄一
 
    「農業環境政策をグローバリズム推進の隠れ蓑にしてはいけない」
       茨城大学農学部教授 中島紀一
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 総  合
    農水省が企画部会に食品産業の競争力に向けた対応方向を示す。地域ブランド確立へ(10/8)
 食品・安全
    「油包んで体外排出」ダイエット食品は効果なし。厚労省が健康増進法違反で対応求める(10/13)
 米穀・水田
    04年度第1回新品種命名登録にさめても美味しい「イクヒカリ」、発酵粗飼料用「ニシアオバ」など
 畑作・果樹
    農水省農業資材問題検が資材費低減行動計画の再改定を求める報告書(10/8)
 畜   産
    農水省と厚労省が食品安全委員会に「BSE検査を21カ月以上」を諮問(10/15)
 金融・農協
    全中によると、9月末現在にマスタープラン策定した県域は8割、年内にほぼ終了の見通し
 構造・農村
    農水省によると、3割強の食品企業が農業参入の意向。直接参入は6%、農業生産法人出資が1割
 
林   野
    国土緑化推進機構が森林浴効果による生理機能を解明、森林セラピー基地を来年早期に導入(10/19)
 
水   産
    ワシントン条約締約国会議で日本提案のミンククジラ附属書ダウンリストを否決(10/2〜14)