2005年1月5日号
 

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農林抄 (論説/資源循環・環境創造型バイオマス戦略への提言)
 
   「バイオマス・ニッポン総合戦略の進捗状況」
       農水省大臣官房環境政策課資源循環室室長 藤本 潔
 
 米政府として、我が国の社会経済の構造を、化石資源使い捨てニッポンから、太陽の恵みで生産されたバイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源で化石燃料を除いたもの)資源を活用する「バイオマス・ニッポン」に転換していくための戦略を示した「バイオマス・ニッポン総合戦略」が平成14年12月に閣議決定されてから、早いもので一年が経過した。・・・



焦 点 「横浜商取が初の野菜先物」
 
 
 横浜商品取引所で野菜先物の初取引が12月20日ひらかれた。野菜の受け渡しを伴わない野菜先物は、世界でも初めて。ハクサイやキャベツ、ネギなど主要野菜14品目の平均価格を取引きし、14品目を一括りとしてバスケットに入れて取引きするところから別名「野菜バスケット」と呼ぶ。取引単位は1枚2000`グラムで、毎月末の決済日の直前5日間の平均価格と、実際の売買価格との差額を決済する「現金決済取引」で行なわれる。初日の出来高は、目標としていた1万枚を大きく上回る1万9762枚となり、05年2月物では約定高値が1`当たり172・7円となり、出し値を8円20銭上回る上々の滑り出しを切った。



新春特集 「21世紀農業技術開発戦略の研究」<1>        (季刊特集
 
   「環境中の微生物コントロール技術と遺伝子組換え作物が開く日本の高度化農業」 
       東京大学生物生産工学研究センター教授 小柳津広志
 
      カリスマ的技術をシステム化
      高付加価値GM作出を
      高度化農業知財立国めざせ

     
読み切り
 
   「21世紀の農業技術戦略におけるイネゲノム塩基配列情報の利用」
      〜国際コメ年記念科学論文コンテスト最優秀賞受賞記念論文〜
       農業生物資源研究所ゲノム研究グループ長 佐々木卓治
 
      革命的転換点に立つ生物研究
      配列情報を機能性増強に活かす
      自給率向上貢献に期待

     
読み切り
 
   「農業経営改革に向けたITの活用」<1>
       農業情報学会専務理事兼副会長
       農業情報コンサルティング(株)代表取締役 田上隆一
 
      はじめに
      圃場モニタリング情報と経営改革
      圃場データベースと農業生産管理

     
つづく
 
   「注目される農産物の機能成分と商品開発の可能性」<1>
       (独)食品総合研究所食品機能部長 津志田藤二郎
 
      はじめに
      健康寿命の延伸に有効な食品素材の開発や新評価法の開発
      食品素材の開発
       (1)糖質素材
       (2)アミノ酸・タンパク質素材
       (3)脂質素材

     
つづく
 
   「宇宙のキャベツ畑」<1>
       大阪府立大学大学院農学生命科学研究科教授
       日本植物工場学会会長       村瀬治比古
 
      宇宙での生物生産
      重力も環境制御の対象
      宇宙農場は高度に最適化
      宇宙農業との接点
      付図・国際軌道/バイオスフィアUステーション/月面基地/スペースコロニー/クリノスタット


     
つづく
 
   「資源循環・環境創造型農業の技術開発への提言」
       日本有機農業学会会長・茨城大学農学部教授  中島紀一
 
      立ち後れる環境創造型技術開発
      営農現場から学べ
      農業者参画の技術開発を

     
読み切り
 
   「農業ロボット開発の可能性と展望」
       岡山大学農学部助教授 門田充司
 
      世界に先駆け開発に着手
      可能性拓くテレロボティクス
      情報の収集・蓄積・利用が第3世代ロボ研究の課題
      移動ロボ登場で選果場不要に


     
読み切り
 
 
編集室
 
 2005年新年特集号の統一テーマは、『21世紀の農業技術開発戦略の研究』としました。弊誌では、夏季特集号以降、日本の農業力のバロメータである食料自給率の向上を柱とした持続的な日本農業の発展を戦略的に図るべきとの観点から、「食料自給戦略の研究」を立ち上げました。これに加え、今後、「農村活性化戦略の研究」を加えた「21世紀食料・農業・農村戦略の研究」を立ち上げる方向で検討を進めております。この食料自給戦略を柱とする総合戦略を構築し展開していく一環として、技術革新を一つの有力なツール、テコとして、農業構造を構造的に改革し、消費者・実需者に必要な新鮮かつ健康を維持・増進しうる安全・安心な国産農産物を提供することにより、国内農産物市場を輸入農産物から奪回するだけでなく、海外市場に輸出できる、品質・価格両面の競争力を強化し、結果として自給率が向上し、食料安全保障と国土・環境安全保障が確保されうることを基本戦略として、そのためにどのような農業技術の開発が必要か、その戦略目標を設定し、その実現にどのような戦略的政策を構築、展開すべきか、という観点からこの特集企画を立案しました。
 この21世紀戦略を実現するために必要な開発すべき研究・技術開発テーマとしては、「環境の世紀」の最優先課題である、有機的資源を循環的に利用し、環境を保全・創造していく農法により、安全・安心な農産物を提供していくための資源循環・環境創造型農業振興技術、気候変動対応技術、日本の得意分野である微生物や発酵技術を活用した土壌改良や生物農薬、環境浄化技術、食品開発、創薬など微生物・発酵技術、日本のイニシアティブの下に完全解読という快挙を成し遂げたイネゲノム塩基配列解読成果を踏まえた、有用遺伝子の効率的な探索・単離、機能解明・利用など、ポストイネゲノム・シーケンス研究、昆虫・動物ゲノムなどバイオテクノロジー、ライフサイエンス研究の加速化、米等農産物の消費拡大戦略の展開に向けた良食味や新形質等の品種、高蛋白多収大豆品種、ASWに匹敵する高品質小麦、トウモロコシ並み高TDN収量の発酵粗飼料稲など品種改良・開発、水田の高度利用に向けた高生産性輪作技術、農業経営革新、調達・流通・販売の効率を高めるITの利活用(技術)と今後開発すべき情報技術、省力化・低コスト化による競争力強化に向けた農業ロボット開発、水稲直播栽培技術、野菜・畑作・果樹の省力機械化一貫体系化技術、ナノテクなど材料工学研究、宇宙ステーションや衛星・惑星で人類が宇宙活動をしていくのに必要な食料生産技術開発と、その地上へのフィードバック応用技術、さらに太陽エネルギーやバイオマスエネルギーを利活用した植物工場のシステム開発等々が挙げられます。
 こうした21世紀に開発すべき重要研究テーマ、戦略的研究・開発目標とその実現のための戦略について、今回からシリーズで、研究・技術開発分野の専門家及び、技術普及・指導、農業・農村現場で農業の振興、農村の活性化に取り組んでおられる方々からご提案を頂くことにしております。 現在、検討されている新たな食料・農業・農村基本計画が食料・農業・農村戦略として構築され、その実現を図る技術開発戦略として、農林水産省農林水産技術会議で検討されている「農林水産研究基本計画」は策定される必要があります。策定に当たっては、ご提案いただいたアイデア、研究開発課題が反映され、農業・農村が技術革新をテコに活性化し、持続的に発展していくことを期待するものであります。

週刊農林編集部