2005年6月25日号
 

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農林抄 (論説/2004年度 食料・農業・農村白書の評価)
 
   「さらなる親しさと、さらなる分析を」
       経済産業研究所上席研究員 山下一仁
 
 
 今年の白書も例年と同様食料・農業・農村に関する諸問題の現状や農産物の輸出などの時事的なトピックを網羅的に記述している。それはそれなりに参考になるし、有益であるが、日本農業の課題克服にどれだけ有効かとなると別問題である。最近の動向は知らないが、アメリカ農務省が出す毎年の農業白書は農業の重要問題を一つに絞って記述していた。私がアメリカに留学していた81年の農業白書のテーマは土壌流出であった。それが、ウォール・ストリート・ジャーナルに大きく取り上げられたため、農業問題とは無縁のミシガン大学で経済や行政の勉強をしていた私にある教授がこんな記事が出ているよと教えてくれた。これが、私がアメリカ農業の問題点に注目するようになったきっかけだった。・・・


焦 点 「コメ先物取引で議論開始」
 
 
 東京穀物商品取引所は6月8日、米先物市場の開設に向けた報告書を発表した。取引対象は標準品銘柄は茨城、栃木、千葉産の「関東コシヒカリ」と北海道産「きらら397」。これ以外の産地の当該品種銘柄は、標準品と一定の格差を設ける受渡供用品とする。取引の立会いは午前と午後に行い、それぞれの立会いの開始時と終了時の取引は板合わせ方式による単一約定値段の競争取引。その間の取引はザラバ方式による複数約定値段の競争取引を行う「板合わせザラバ方式」を新たに導入する。60キロ当たりの価格を10円単位で売買、最小の取引量は6000キロ。これを受け農水省の政審食糧部会は6月17日、米の先物取引について議論を開始した。



解説と論評 「2004年度 食料・農業・農村白書」       (農業政策
 
    「持続法廃止し有機農業基本法制定を」
       週刊農林編集部
 
    6POINT解説
 
      輸入依存で需給・安全リスク増す
      直売所から学校給食に地場産納入
      構造改革加速し地域農業を再編
      環境創造型構造改革へ有機振興戦略を
      差別化へ地域ブランド化提案
      異業種連携で食料産業クラスター形成
 
 
 <要旨>政府が5月17日、閣議決定し国会に提出した2004年度食料・農業・農村白書は、世界の農産物需給について、20年後の2025年に水資源の制約など不安定要因が深刻化すると世界の穀物生産は1割相当の約2億5000万トン減少し、穀物価格が高騰する可能性があるとの国際研究機関予測を引いて、改めて「中長期的に逼迫する可能性もある」と力説した。昨年は、かろうじて危機は回避されたが、中長期どころではなく、いつでも食料ショックが起きうる不安定な、危うい世界の農産物需給・貿易構造にあることを改めて強調しておかなければならない。とくに農産物輸入額がこの10年間で倍増した中国は、ついに農産物純輸入国に転落したが、このことは中国が石油等産業資源だけでなく、農業・食料資源においても世界の大波乱要因、台風の目として影響力をますます強めつつあることを意味している。このことはまた世界最大の純輸入国である日本が、輸入先を米中を中心に4カ国に集中、特定国依存度が高いことから、輸入先国の作柄や作付け変動だけでなく、最近相次いで発生したBSEや高病原性鳥インフルエンザなど家畜疾病の影響を受けやすく、食料の安定供給確保に加え食の安全性の観点からも「脆弱性が内在」しているといえよう。いつ起きるかもしれない食料需給・価格、安全性リスクに晒され、食料安全保障を脅かされているという危機認識に立って、日本農業の品質・価格両面の市場競争力を強化し、食料自給率を向上していくことが緊要である。


     
読み切り
 
 
トピックス 「食料自給率向上協議会が行動計画策定」      (基本計画
 
    「学校給食会と連携、米飯給食週3回めざす」
       週刊農林編集部
 
      地産地消推進へ600計画作成
      飼料増産重点120地区で耕畜連携
      食育と地産地消の推進
      国産農産物の消費拡大
      食品産業との連携


     
読み切り
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 農村・水田
    農村地域再生・活性化戦略の構築<3> 地域共同の資源保全管理を支援、中山間支払いは担い手育成に重点シフト
 
食品・安全
    農水省が外食メニューの原料原産地表示導入へガイドライン骨子まとめる(6/13)
 
畑作・果樹
    農水省が総合的病害虫管理(IPM)実践指針を発表。減化学農薬は農業者の責務うたう(5/24)

 畜   産
    全国食品残さ飼料化行動会議が行動計画まとめる。農水省は飼料化マニュアルとパンフ作成(6/19)

 金融・農協
    2004年度の農林漁業金融公庫の融資総額が4%減の3272億円。農業向け協調融資は4.7倍に
 
林   野
    緑の雇用推進連合が「緑の雇用」の人的要件廃止と事業対象作業を拡充して継続もとめる(6/16)
 
水   産
    カンパチ、イサキの中国産中間種苗から高頻度にアニサキス検出、現地飼育での生餌が原因(6/15)