2005年10月25日号
 

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農林抄 (論説)
 
   「農地・用水等の資源保全施策を巡って」
       (茨城大学大学院専攻長・教授 柏 雅之
 
 
 品目横断的経営安定対策とセットで07年度から導入される「農地・農業用水等の資源保全施策」の基本スキームが提示された。@従来の農村地域主体にNPOや都市住民も加えた「多様な主体の参加」による「地域共同」での協定による取組みA集落のみならず水系や事業単位での対象地域B支援の前提条件となる農業者を中心とした「地域自らが最低限取り組むべき」履行事項(基礎部分)と新たな社会的ニーズに応え「地域条件に即しできるだけ積極的に取り組むことが有効な活動」(誘導部分)とによって「効果の高い取組み」に誘導することC地方自治体への裁量増加といった事項がこのスキームの特徴である。農業人口の高齢化・減少、都市化による混住化地域とその対極にあり農村人口自体の縮小が急速に進行する中山間地域、いずれも営農にともなう無償的行為としてなされてきた地域資源管理システムの急速な脆弱化への対応であり、冒頭に示した担い手対策の補完施策である。・・・


焦  点 「英科学誌に鳥インフル重要論文」
 
 
 ベトナムで高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)患者から、抗インフルエンザ剤「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたことが東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らの研究で分かった。また、米国の研究機関が1981年に5000万人の命を奪ったスペイン風邪のウイルス遺伝子を解読した結果、鳥インフルエンザ由来だったことが明らかになった。このスペイン風邪ウイルスはヒト型ウイルス株と組換えをしなくても直接ヒトに感染することも解った。東アジアで死者を出したH5N2型も、同様の特徴を持っているという。H5N2型は欧州にまで感染域を広げており、WHOでは大流行への危機感を強めている。



秋季特集 「日本型直接支払いと新米需給システムへの提言」<3> 季刊特集
 
    「担い手の多様性と政策支援の考え方」<2>
       九州大学農学研究院教授・コーネル大学教授 鈴木宣弘
 
      稲作農家が何を不安視しているか―「岩盤」への高い関心
      欧米の政策の再検討
      財政負担の検証―「ゲタ」「ナラシ」「岩盤」1万2000円
      地方自治体の裁量権拡大の有効性
      まとめ


     
最終回
 
    「ある門外漢の農政改革試案」<2>
       経済産業研究所上席研究員・元農林水産省ガット室長 山下一仁
 
      農業の担い手とは誰なのか?
      誰のための担い手なのか?
      一般国民・公衆にとっての「農業の担い手」
      農地は集落で、農業は担い手で
      具体的な制度の試案
      本格的な農政改革を


     
つづく
 
特  集 農林漁業史発掘「中国で稲籾出土」         (稲作・麦
 
    「稲作起源1万2000年前に遡るか」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 稲作の起源はどこまで遡るのか、そしてその起源地はどこか――。中国・新華社電は、この春節、ユーラシア大陸随一の大河・長江中流域にある湖南省道県の玉蟾岩遺跡域から1万2000年前の原始的な栽培稲籾6粒が出土したと報じた。同遺跡は現在、周辺に水田や湿原が広がる野生稲分布の北限。実は既に、1993年と95年の2回、この遺跡は発掘調査が行われ、原始栽培稲とされる4粒の稲籾と稲属のプラントオパールが検出されたことから、中国では東アジアの稲作の起源は紀元前1万年前後で起源地は華南の長江中流域とされていた。今回の報道は、この説をさらに補強するものだが、日本の植物遺伝学者や考古学者は「懐疑的」だ。「1万2000年前」という年代値が証明されていないうえ、DNA・プラントオパール分析でもどこからが栽培稲か判別が困難で「稲籾やプラントオパールが出たから栽培稲とは言えない」からである。いま現在、栽培稲、稲作の存在が確実と見られるのは、7000年前の長江下流域だ。折江省の河姆渡遺跡から縄文時代の稲と同じ熱帯ジャポニカ種の栽培種と鑑定された大量の稲籾と、骨・木製鋤や石包丁、木製シャベル、角製つるはし、水田、畦、溝、溜池が発掘され、灌漑施設を擁する水田稲作が本格的に行われていたことが明らかになった。野菜栽培や養蚕・絹織物業、豚など家畜の飼育も行われていたなど、従来の「雲南―アッサム稲作起源説」は覆された。
 
トピックス「自然循環型農業の進展」            (農業・環境境政策
 
    「滋賀県直接支払いで『環境こだわり』面積劇的増加」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 滋賀県は、琵琶湖とその周辺を農業廃水等の汚濁から守り、より安全で安心な農産物を県民に供給することを謳った「環境こだわり農業推進条例」に基づき、全国に先駆けて04年度から「環境直接支払い」と「農村環境直接支払い」を導入し、環境保全や景観創造に大きな成果を上げ始めている。
 
解  説「新・基本計画に向けたJAグループ政策提案」      (基本計画)     
 
    「受託組織など多様な担い手対象を」
       週刊農林編集部
 
      米価下落に最低所得対策も
      誰作業受託組織など営農組織を対象に
      全作業受託面積や裏作麦作付面積を経営規模にカウント


     
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