2006年5月25日号
 

(会員制)

  

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農林抄(論説)
 
   「米価操作と米産業の衰退」
        経済産業研究所上席研究員 山下一仁
 
 
<書き出し> 全農あきたが、全国米穀取引・価格形成センターの入札制度を通じて「あきたこまち」など約3000dを子会社のパールライス秋田と民間卸会社に高値で落札させて、米価を操作したという事件があった。センターの入札取引ルールの変更が検討されているようである。しかし、不落札という事態がなぜ恒常化し、容認されるのだろうか。不落札とは本来市場が決める価格が低すぎると誰かが評価して、売買を成立させないことだろう。これも価格操作であり、公正な価格形成の場とはいえない。穀物商品取引所が申請した米の先物取引は許可されなかった。先物には、農家にとって価格低下のリスクを軽減できるというメリットがあ
る。出来秋時の価格がどうなるかわからない春先に、一俵2万円で売る先物契約を結んでおけば、実際の価格が1万円となっても、2万円の価格が確保できる。・・・


焦  点 「Aコープ3社が国産こだわり宣言」
 
 
 全農グループのエーコープ関東、エーコープ近畿、Aコープ九州の3社が5月17日、精肉と生鮮野菜について一部の例外8品目を除き「100%国産」に取り扱いを限定する「国産こだわり宣言」を発表した。店内に生産者直売コーナを設置し、契約取引による「生産者の顔の見える」農畜産物産直品の取り扱いを最優先する。精肉では、牛肉、豚肉、鶏肉、ひき肉を国産100%とする(味付け肉、内臓肉などは除く)。生鮮野菜は、端境期に国産が不足したり、輸入品との価格差が大きいブロッコリー、松茸などの8品目以外は、すべて国産とする。また、この8品目も、できる限り国産化できるよう産地開発・商品開発を進める方針だ。



春季特集 「米政策改革2年の検証と米改革・水田農業振興戦略への提言」<4> (季刊特集
 
    「水田農業振興に新しいビジョンとモデルを」<1>
       〜アジェンダ2006の提唱〜
       国際食料農業貿易政策協議会理事
       東京農業大学客員教授   白岩 宏
 
      新しいビジョン形成の世界的潮流
      改革の動機と正当性


     
つづく
 
    「先物市場と現物市場をめぐる諸問題」<2>
       大阪市立大学経済学研究科教授 松島正博
 
      コメ価格センター取引実績の低調化と取引ルールの再検討
      取引ルール見直しの方向
      現物市場と先物市場


     
おわり
 
解検証と提案「米改革・水田農業振興戦略の構築と展開」   (農業政策米・麦
 
    「米価下落で担経補填率実質9割切る」
       〜セーフティネット3対策〜
       週刊農林編集部
 
      稲得補填率は5割切り、加入者3割と低調
      担経加入者は3f以上農家の5割未満
      基準価格3年固定、稲得統合した直接支払いを
      2004年産米の稲得補てん金単価
      2005年産の担い手経営安定対策の加入状況と基準収入

     
つづく
 
分析と解説「WTO農業交渉4月末プロセス」    (国際・貿易
 
    「モダリティ確立断念、閣僚会合も見送る」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨> 4月末の農業モダリティ確立をめざしたWTO農業交渉は、カンクン閣僚会合、香港閣僚会合に続き、またもや断念に追い込まれ、閣僚会合さえ見送られた。モダリティ確立を再々断念したのは、重要品目の関税割当枠の拡大幅の算出ベースをめぐりG10・EUとアメリカ・G20が激しく対立し、打開策として両者の中間案「ハイブリッド・アプローチ」を模索したが、妥協点を見つけることができなかったからだ。その背景には交渉打開のカギを握るといわれたアメリカ・EU・ブラジル三局の対立が解けなかったことにある。モダリティは確立できなかったが、12月の香港閣僚会議以降農業交渉は、市場アクセス分野で先進国の各階層の境界についてG20提案の第1階層20%、第2階層50%、第3階層75%とし、階層内の削減方法は累進性のない定率削減方式とする方向でほぼ収斂するとともに、国内支持分野で「青の政策」の上限を農業総生産額の2・5%とすることで収斂が見られるなど一定の「進展」があった。これを踏まえ今後の交渉プロセスは、7月末までに譲許表提出にこぎつけないと年末までに交渉全体の最終合意に達せず1−2年間、交渉が凍結状態になるとの危機感から、今月第1週から6月第2週までの6週間、集中的に議論し、6月中旬までに閣僚会合を開きモダリティ確立に合意する方向で進められている。主要論点としてファルコナー農業交渉議長は、米国の国内支持削減やEUの市場アクセス改善、途上国の鉱工業製品関税の削減の3点セットを挙げており、大詰めの段階では日本等G10
抜きで米・EU・伯3Gで政治決着が図られる恐れがある。そうした事態を警戒・牽制しつつ、G4ないしG6閣僚協議に交渉の流れを導く働きかけを不断にしていく交渉力が要請される。
 
 

農林水産ニュース&解説

 
 食品・安全
    エーコープ関東、近畿、九州が農畜産物の取扱いを「国産100%」とする「こだわり宣言」(5/17)
 
畑作・果樹
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畜   産
    農水省が06年度飼料自給率向上行動計画を策定。作付前から稲わら仲介・斡旋活動を展開(5/10)
 
農協・金融
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    岡山県備前市が全国初のケースとなる市民ファンドによる自然エネルギー熱供給サービス事業を展開
 
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    農水省の水産基本計画意識調査で、人材確保が最も遅れていることが明らかに
 
 

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