2006年夏季特集号
(7月25日号)
 

(会員制)




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農林抄 (論説/園芸福祉で『新たな農業・農村のかたち』を創ろう!!)
 
   「園芸福祉と農業の多面的機能の発揮」
       農林水産省女性・高齢者対策推進室長 牛谷勝則
 
 近年、植物の播種から収穫までのプロセスに幅広い年代の人が参加し、様々な活動の中で楽しみや喜びを共有するいわゆる「園芸福祉」が注目されている。園芸福祉活動は、現在、主にNPO法人等民間や一部の地方自治体が中心となり行われているが、その活動の目的や内容は、高齢者の健康管理や障害者の自立支援といった福祉活動以外にも、「食」や「農」について学ぶといった教育的効用を期待した取組み、グリーンツーリズム等都市と農村の交流、地域振興や緑化・環境保全の観点からの取組など活動の幅が広がっており、農業・農村とますます深い関わりを持つようになってきた。・・・



焦 点 「食品産業の東アジア進出を後押し」
 
 
 「21世紀新農政06」が示した国内食品産業の東アジア進出を支援し、現地法人の活動規模を5年で3−5割拡大させる計画を実現するため、農林水産省は7月7日、東アジア食品産業活性化戦略会議の初会合を開いた。少子・高齢化により成熟化する国内食品市場に比べ、東アジアはGDPの伸びに加え、人口増加や食生活・消費水準の上昇が見通され、食品市場は急成長が見込める。しかし、東アジア地域では「主食や調味料、薬味など食文化に我が国と共通性がある」(農水省)ものの、国内食品産業は中小企業が多く、投資リスクの大きさから欧米の進出に遅れをとっている。同会議では、基本方針と実行計画を年内にまとめる。



夏季特集 「園芸福祉で『新たな農業・農村のかたち』を創ろう!!」<1> (季刊特集
 
T 園芸福祉の概念及び園芸療法と欧米の取組活動
 
   「園芸福祉」<1> 
       東京農業大学前学長・教授/日本園芸福祉普及協会理事長
       進士五十八
 
      高い関心―園芸福祉士
      ひとと自然のふれあい―環境福祉
      花緑とのつきあいは人間の本質―園芸福祉の提唱
      手段としての園芸療法―目的としての園芸福祉

     
つづく
 
   「園芸療法について」<1>
       東京農業大学農学部バイオセラピー学科教授 浅野房世
 
      園芸療法とは
      環境療法:ミリューセラピー(Milieu Therapy)とは
      図1・環境療法の概念図

     
つづく
 
   「日本における園芸療法導入と展開」<1>
       日本園芸療法研修会代表 澤田みどり
 
      園芸療法との出会い
      共に生きる
      クリーブランド植物園での研修
      日本へ園芸療法を広めるために

     
つづく
 
   「欧米の園芸福祉事情」<1>
       フラワービレッジ倉渕生産組合理事・農場長 近藤まなみ
 
      アメリカ
      イギリス
      EU

     
つづく
 
   「千葉大学環境健康フィールド科学センターの展開」
       千葉大学環境健康都市園芸フィールド科学センター長 安藤敏夫
 
      園芸健康資源
      東洋医学と園芸
      健康のために環境を整える
      循環型社会と園芸
      都市園芸

     
読み切り
 
U 多様な園芸福祉・園芸療法のモデル的取組活動
 
   「熊野発園芸福祉のすすめ!」<1>
      〜人に優しい園芸福祉のまちづくり〜
       南紀グリーンハウス代表 芝崎裕也
 
      紀南健康長寿推進協議会と園芸療法部会
      南紀グリーンハウスと紀南ひかり園の取組み
      紀南ひかり園と尾呂志学園の交流
      紀南地域の園芸福祉(上)

     
つづく
 
   「JA高齢者福祉事業における園芸福祉活動」<1>
       JA庄原ディサービス「ひまわり」園芸福祉士 松本正行
 
      花いっぱいのディサービスセンター「ひまわり」
      過疎に歯止めがかからない中山間地域――利用者のほとんどが農園芸体験者
      「活動の柱は心身機能活性」
      運動と園芸福祉活動
      年間活動計画の特徴点

     
つづく
 
編集室
 
 「花や野菜を育てて、みんなで幸せになろう!」を合言葉に、「園芸福祉」という活動が静かに市民運動として拡がりを見せようとしています。これまでのモノとカネを与える「経済福祉」に加え、より良い環境の下で豊かな自然や歴史文化と触れ合いながら、いろんな仲間たちと交わり楽しみながら、ゆったりとした時間をすごす「環境福祉」実現の有効な手段と位置付け、新たなライフスタイル「グリーンライフ」として普及しつつあります。超高齢化・超少子化時代に突入し、団塊の世代の定年退職が本格化、経済社会構造が大きく変化しようとしている中で、花や野菜、果樹、樹木、薬草など植物を育てることの楽しみや喜び、それらが形成する美しい景観や緑に触れることで心が和み、癒されるだけでなく、農作業を行うこと自体が心身機能の回復というリハビリ機能を持ち、ストレスの多い現代社会の中でリラックス、ストレスの解消、心身の健康増進、生きがい感の醸成など、農耕・園芸の持つ多面的機能・効用が注目、再認識されつつあるからです。それが都市の生活者、とくに女性や定年退職者を中心に健康・余暇・交流活動として園芸福祉士資格取
得による植物栽培や地域環境づくりとして、また認知症や介護予防・改善、生きがいなど高齢者福祉、園芸セラピー、芳香療法など病院でのリハビリ・治療、知的障害者の自立支援、児童・生徒に対する情操教育・食育プログラムとして、さまざまな地域や個人、組織・団体でいろいろな取り組みがなされようとしております。
 本誌では、このような農耕・園芸活動と、その場としての農村の持つ機能・効用に改めて着目し、人間性の回復、心身両面の健康増進、治療、美しい地域景観・環境の保全・形成のための「新たな農業・農村のかたち」を模索・創造し、それを農業・農村の活性化・再生に繋げられないか、との思いから2006年夏季特集号企画テーマを「園芸福祉で『新たな農業・農村のかたち』を創ろう!!」としました。そのねらいは、本来持っていたが、経済性の追求の中で見失われつつある、その機能・効用を再発見し、活かし、改めて新しい農業・農村の役割として付加しよう。それによって、農業をして、農村に住んでいて「よかった」と生きがいを感じ、幸せになろう。そして都市生活者にも、その幸せを分かち合おうというものです。そのために農業者自身が自らの心身両面の健康のために農作業に勤しみ、滋養豊かで安全な食べ物を環境にやさしい農法で育て食することで幸せを感じる。その収穫物を都市生活者にも分かつ。農耕・園芸を通じて生産・生活の場を美しい景観、快適なフィールドとして形成する(資源循環環境創造型農業・農村の創造)。そうした生き方や在り方、農業・農村の魅力を再発見して定年退職者や若者が就農し、スローライフ、スローフードを楽しむ。そうした幸せを都市生活者にも分かち合うため、耕作放棄・遊休地を含め、クラインガルテン、福祉農園、教育農園として農地を提供、あるいは経営・管理運営し、都市生活者・市民と交流していく。さらにリラクゼーションや心身機能の改善・回復を求める人たちには、美しい緑空間、里山での散策、森林浴の場を提供するだけでなく、薬草栽培を含めた植物を育て(園芸セラピーとしてのリハビリテーション)、その収穫物を漢方薬、薬膳等の素材とし、湯治のように滞在して養生できるクアハウス、医療施設を備えた場を提供するなど、農業・農村の活性化に結び付けていくことも可能となります。
 こういう視点から、「園芸福祉」とは何かという概念、園芸療法の効果、大学等教育機関での教育プログラムやセラピスト養成プログラム、欧米の園芸福祉政策や取り組み動向について専門家の方々に解説していただきますとともに、多様な拡がりをもつ園芸福祉・園芸療法のモデル的な取り組み活動を取り上げ、紹介していきます。

週刊農林編集部