2006年11月5日号
 

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農林抄(論説)「新水産基本計画と漁業振興への提言」
 
   「日本人に欠ける魚食の大切さ」
        ウーマンズフォーラム魚代表 白石ユリ子
 
 
21世紀はお魚戦争」が具体化してきた。私はかねて、世界中が魚食の価値に気づき、近いうちに日本はこれまでのように世界中から魚が買えなくなる、と予言してきた。そうした事態にでもならないと、日本の消費者は絶対に魚食の大切さに気づかないだろうとも話してきた。今年はいよいよ、このお魚戦争が目に見えるようになってきた。日本はエビもサバも買い負けて、輸入がどんどん減っている。マグロは事情が違うけれども、輸入が減っている。国民の目が幾ばくかの危機感とともに、魚に向いてきている。いまこそ、チャンス到来。日本の国民に国を挙げて海と魚の大切さを語るときなのである。水産基本法の基本理念は「水産物の安定供給の確保」ではなく、「海とサカナこそ、資源のない我が国の命綱である」と国民はもとより、世界中に発信すべき時を迎えている。・・・


焦  点 「中山間直接支払いで不正受給2億円」
 
 
 小林芳雄農水次官は10月30日の定例会見で、「中山間地域等直接支払制度」で会計検査院から不適正な支給があったと指摘を受けていたことを明らかにした。不適正な支給は事業開始から04年度までの5年間に、17道府県61市町村で計2億円にのぼる。受給後に農業をやめたり、対象農地となった耕作放棄地復旧を放置していたり、対象農地に家を建てたりしたケースがあった。これを受けて農水省は9月15日付で、制度の適正な実施と実施状況の十分な把握、制度の周知徹底、さらには不正受給が指摘されたケースの是正計画策定など所要の措置を求める通知を都道府県と市町村に発出した。



秋季特集「新たな水産基本計画と漁業振興への提言」<1> (季刊特集
 
    「多様な生態系回復による沿岸漁業振興を」
       鹿児島大学水産学部助教授 佐久間美明
 
      水産基本計画の概要
      水産資源の回復と管理の現状
      合意形成は手段であって目的でない
      付表・魚介類の生産量の推移


     
読み切り
 
    「水産基本計画の評価と水産物流通改革」
       三重大学大学院生物資源学研究科助教授 常 清秀
 
      大都市中央卸売市場の卸売業者の生き残り戦略
      地域特性活かした産地市場統合を
      漁協産地市場は「産直」「宅配」「電子商取引」を構築
      市場効率化は社会的コスト削減目的に


     
読み切り
 
    「水産基本計画に欠けているもの」
       〜漁業外国人研修・実習生制度から見えてくるもの〜
       独立行政法人・水産大学校教授 三輪千年
 
      はじめに
      見かけなくなった若い日本人漁師の姿 ―嘆く古老漁師―
      外国人雇用の活性化で、日本人の若者に魅力ある職場作り


     
読み切り
 
トピックス「格差是正へ農水省が農山漁村活性化推進本部設置」 (農業政策
 
    「2050年農村人口3割激減、高齢化率65%に」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>都市と地方の格差拡大が懸念され、「地方の活力なくして国の活力なし」のキャッチフレーズの下、安倍新内閣の重要課題として地方活性化が挙げられたことから、農山漁村の特色を活かし創意工夫と努力により活性化している地域の取り組みを全国の農山漁村に拡げ、地方の活性化を図れるよう支援していく施策を検討し強力に推進するため農林水産省は10月18日、福井農水大臣政務官を本部長とする「農山漁村活性化推進本部」を設置、初会合を開いた。検討事項は、まず当面の検討課題として地域の特色、地域の活性化方策に応じた国の支援策を12月末までに整理し、年明けからは市町村長や有識者に対するヒアリングを踏まえ08年度以降の新規施策を検討、8月下旬に取りまとめを行う予定だ。初会合では、農山漁村をめぐる状況が議論され、2006年に1億2800万でピークを迎える人口は、その後、減少に転じ、50年には2割減少し1億人割れ寸前となり、65歳以上の老年人口は4割増加し、その人口構成比は4割に拡大する。これまで急激に高齢化が進んできた農山漁村部では高齢者が死亡時期に入り、人口が3割減に激減していく結果、高齢者率は35%程度で横ばいとなるが、農家人口は20年までの20年間に約4割減少、1000万人を大きく割り込むことに加え、就農者の高齢化率は65%と農山漁村部全体を大きく上回り、二人に一人以上が高齢農業者になるという。これに伴い農業集落数も約2万集落減少し12万弱集落に減少、集落規模も農家戸数が10戸以下の小規模集落が全体の5割に拡大する。
 
分析と解説「2006年 集落営農実態調査」
 
    「品目横断要件クリア集落3〜5割」
       週刊農林編集部
 
 
 <要旨>「経営所得安定対策等大綱」決定後初の調査で、どの程度集落営農が増え、どの程度が「品横対策」対象となるか、どの程度の加入意向があるか注目された「2006年集落営農実態調査結果概要」(農林水産省統計部、調査時点5月1日)が取りまとめられた。集落営農数は構成員農家の高齢化に伴なう解散・廃止が563あったものの、大豆等転作受託組合の設立などで新設が981あったことから、差し引き合計で05年より418(4%)増え1万0481組織となった。これに伴い集落営農への参加農家数は2万1千戸(5%)増え約43万2千戸となった。農家総数の15%に相当する。「品横対策」の組織5要件をクリアできる集落営農は、@「地域の農用地の3分の2以上の利用集積」に相当する70%以上の耕地を集積している集落営農が全体の31%A「生産物の出荷・販売収支」の一元管理を行っている組織は予定を含め36%B主要作物を「組織名義で出荷」しているのは予定を含め37%C農業生産法人は計画策定・予定を含め37%などから、3−4割程度と見込まれる。また特定農業団体・同等要件組織の経営規模要件である20ヘクタール以上農地を集積している集落営農は49%で05年より6%増えた。経営耕地だけで33%だから、農作業受託面積まで対象範囲を拡げることで、対象組織が増加し、ほぼ5割まで対象を拡大することが可能となったといえる。このように要件をクリアできると見込まれる集落営農が3−5割程度と見込まれるにも関わらず、「品横対策」に加入を予定している集落営農はまだ28%と少なく、未定が56%と多い。これは、加入の検討中を未定にカウントしたためで、集落営農の組織化・法人化や加入申請への働きかけが進められており、今秋冬から来春にかけて加入予定・決定が増えていくと予測される。
 
分析と解説「宮腰農地政策勉強会の検証と課題」<3> 農業政策
 
    「参入阻害は『希望にあった農地がない』」
       週刊農林編集部
 
      農地の効率的利用への新規参入促進
      見宮腰前副大臣も参入制限撤廃主張

 
トピックス「農林中金総合研究所が森林組合改革レポート」 林野
 
    「多様な組織形成を指向すべき」
       週刊農林編集部
 
      森林組合は多様な組織形態模索を
      ビジネスモデルを抜本的に見直し
      近代的な作業班組織へ改革
      団地化コーディネート特化は困難


     
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農林水産ニュース&解説
 
 畑作・果樹
    農水省の植物新品種保護強化検討会が権利侵害に対しより有効で使いやすい制度への見直しで中間報告(10/26)
 
畜   産
    農水省の食肉表示検討会が「和牛」表示は国内で産まれでトレーサビリティ制度等の証明可能なものに限定(10/30)
 
金融・農協
    <解説 第24回JA全国大会決議2> 担い手づくり・支援対策を強化、一定規模以上の担い手に個別事業対応
 
水   産
    水産庁が新たな水産基本計画策定の議論を再開、「ポスト資源回復計画」を導入(10/26)