2008年8月5日号
 

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焦  点 「WTO交渉決裂!」
 
 
 WTO交渉(ドーハ・ラウンド)が7月29日、決裂した。開発途上国の特別セーフガード発動条件で、米国とインド・中国とが対立したためだ。他方、農業交渉では、我が国は、最重要課題に位置づける「重要品目数」について従前の10%の主張を閣僚会合直前に「世界に相手にされない恐れがある」(若林農相)ことから、8%に引下げて交渉に望んだものの、各国の理解が得られずに孤立した。ラミー事務局長が示した「原則4%+代償付2%」の枠組みを受入れ、代償付部分を4%に上積みを求める方針に転換。他の主要国が調停案を大筋で受け入れる姿勢にあり、交渉が決裂しなければどのような結果となっていたのであろうか。




農林抄(論説)農林抄一覧
 
   「農業は日本のソフトパワー」
       帝京平成大学教授・元国民経済研究協会理事長 叶 芳和
 
 
<書き出し> 中国、インドなどの経済発展に伴い、日本は経済大国としての地位が後退し、国際社会での発言力が低下している。しかし、ハイテク技術、環境や国民生活の質の高さなどで、アジアの中では依然、傑出している。高級≠ウが日本の魅力であり、外国から尊敬される源になっている。日本のソフトパワーだ。世界は大きく変わった。ソフトパワーをもっと磨かないと、日本は国際社会で沈没していく。筆者は、農業は日本のソフトパワーであると考えている。日本の農産物の品質、高級さは海外で高く評価されている。例えば、日本の米は中国で高く評価され、北京や上海では現地産より10倍以上の価格で売れている。かってはソニー等の電気製品が日本の優秀さのシンボルだったが、いまや米が日本の高級さのシンボルになろうとしている。米が輸出産業となり、日本の文化と技術の高級さを説明する大使の役を果たすことになれば、農業は日本のソフトパワーの一翼を担うことになる。同時に、いま中国の食料・農産品の安全性について疑惑の目が向けられているが、米を通して日本農業の品質の高さ、高級さが中国社会で広く認知されるようになれば、日本に輸出するにはこういう高級・安全なものでなくてはダメだという認識に変わり、日中摩擦の改善にも寄与していくであろう。・・・



夏季特集「新たな食料安全保障の構築」<2> (季刊特集
 
   「世界の穀物需給と日本の食料安全保障」<2>
       ユニパックグレイン(株)代表取締役 茅野信行
 
      トウモロコシ市場の構造変化
      ドル安とインフレ懸念
      投機資金の流入
      穀物価格の嵩上げ要因
      国際コメ価格の急騰
      主要国の米生産・輸入・輸出量

     
つづく
 
   「新たな食料安全保障と世界を見る農業の構築」<2>
       宮城大学大学院事業構想学研究科長 大泉一貫
 
      日本の国際コメ市場への貢献の道
      技術開発の低迷とコメのコスト問題
      食の安全と環境問題への貢献
      Made by Japanese≠目指せ

     
つづく
 
   「食料自給率は向上できるか」<2>
       東京大学大学院農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘
 
      我が国の農産物関税が高いというのは誤り
      我が国の国内補助金が多いというのは誤り
      欧米輸出国の自給率の高さは競争力ではなく手厚い支援の結果
      農業所得に占める政府からの支払いの大きさ
      食料自給率低下の流れは止められるか

     
つづく
 
   「バーチャルウォーター貿易と水や食の安全保障」<2>
       東京大学生産技術研究所教授 沖 大幹
 
      水問題は貧困や飢餓と一体
      日本の食生活は非持続的
      図1 2000年における各地域間の“Virtual Water Trade”

     
つづく
 
農林水産ニュース&解説
 
 国   際
    WTO農業交渉(ドーハラウンド)が決裂(7/29)
 
構造・水田
    農水省が「耕作放棄地対策研究会」設置し、11年度中に農振農用地区域耕作放棄地を解消へ
 
畜   産
    農水省が今後の養豚のあるべき姿の実現に向けた08年度行動計画(7/25)
 
畑作・果樹
    農水省がダイコンの緊急需給調整としてホクレン100d、全農青森210dの計310dの市場隔離(7/31)
 
農協・経済
    農水省が改正農協法実施状況を検証、兼職・兼業規制の強化求める
 
食品・安全
    食品の表示に関する共同会議が中間加工品の原料原産地表示義務化を検討(7/28)
 
環境・技術
    政府が「田園環境モデル都市・おびひろ」(北海道帯広市)など全国6自治体を「環境モデル都市」に選定(7/22)
 
林   野
    政府の規制改革会議が意欲ある林業経営者・林業事業体に対する森林簿の開示等を求める中間報告
 
水   産
    水産庁が燃油費増加の9割を実費で支払う「省燃油実証事業」創設など燃油高騰水産業緊急対策(7/28)